この秋、茨城県取手市のJR高架下に完成した壁画は、取手の自然や歴史からモチーフを選び、絵巻のようにリズミカルに展開するものです。北面では、利根川の水の流れを表わす文様に縄文土器や土偶を組み合わせ、また、市花のつつじや、桜、もみじの葉で季節の移り変わりを表現しています。蝶のオオムラサキは市内の永山小学校で育てているものです。南面には川が氾濫したときに使われていたサッパ舟、川原の笹やススキ、野菊、流域で見られるクロスジギンヤンマが構成されています。
取手アートプロジェクト2003の一環として作成されたこの作品は、原画を東京芸術大学壁画第二研究室(工藤晴也教官)の大学院生・住康平が作成。8月から10月まで約2ヶ月にわたる現地での制作期間中に、多くの市民の協力を得て実現したものです。高さ5メートル、東西の幅が40メートルにおよぶJR常磐線の高架下は、落書きが氾濫する殺風景な光景が一変し、光と色彩に溢れた新たな都市景観へと変貌しました。市民と芸大生たちの協働によって生まれたこの新たな風景が、永く人々の眼と心を潤すことを願ってやみません。 |